はじめに・・・・

平成19年4月、私はほぼ半年ぶりに、北京空港に降り立ちました。
今の中国にとっての「半年」は、かつての数年分、街並みを一変させるのに十分な月日です。
10日ほどの滞在中は、内陸部も含めて、あちらこちらを車で走り回りましたが、「もう、どう転がっても、中国には、かなわないなぁ〜」と実感しながら過ごしていました。
かつて、中国は日本製品を脅かす安価な製品を輸出する恐い存在でしかなかったのが、いつしか戦況(?)は大きく展開して、今や日本製品の大事なお客様です。中国特需が無くては、バブル後の日本経済の復活はあり得なかったでしょう。
つまり、将来に亘るも、中国の順調な発展無くしては、日本も立ち行かない、ある意味、以前よりも深刻な関係に(?)に陥っているのです。
しかし、そこには大きな問題が立ちふさがっています。
日本でも既に有名な、大きな所得格差の問題です。
しかし、今回の旅では、常々抱いていた、この懸念への、かすかな光明が見えてきました。
非難を覚悟で、敢えて言えば、私たちの社会は一握りの「強力な稼ぎ手」により支えられています。
日本では、この稼ぎ手から、高い税金を採って再配分している訳ですが、これは彼らの「やる気」を削ぐことに繋がってしまいがちです。
さて中国は、この深刻な格差をどうやって、解消するつもりなのだろうか?
いつぞやの日本のように彼らから所得の90%もの税金を取る気なのだろうか?
中国政府の格差是正に向けた動向には、世界の耳目が集まっているのですが、どうやら、金持ちから税金をたんまり巻き上げる気は無さそうなのです。

トウ正平風に言えば「先に豊かになった者」には、税金ではなく、慈善団体への寄付金として富を吐き出させる道を採択したようなのです。
早い話、所得の再配分作業の多くを民間に委託する方法を採っているのです。
民間に任せる大きなメリットは、取り敢えず政府が払う、福祉の為の公務員、人件費が要らないことです。
いくら金持ちから高い税金を取っても、再配分を担当する公務員の人件費に多くの金が消えてしまっては、元も子もありません。
現在、中国にどんどん産まれている大金持ちの大多数は30代から40そこそこで、日本から見ると非常に若い人達なのです。若く賢い彼らは、過去の歴史から、この格差が、繁栄を藻屑と消しかねない時限爆弾である、との危惧を強く抱いており、有効な対策が必要なことは痛いほど感じているのです。

自らの意志で積極的に行う寄付行為は、世間に顔が売れる上に、人間としての品格の高さを示し、尊敬を受ける機会を与える等々、精神的満足感も大きく、企業イメージもアップして、金持ち側としても税金として支払うよりも、遥かに見返りが大きいのです。
政府にしたら、貧困対策への金が集まるなら、売名行為でも何でも、イイじゃないか・・・です。

中華慈善国際連合会は、「先に豊かになった」人達からの寄付金で、既に多くの事業を行っている草分け的な慈善団体です。
香港の富豪である文会長以下のトップ三役は、志の高い、無給のボランティアで、非常に精力的にキメ細かな福祉活動を繰り広げています。
ここに、 毎月一定額の寄付金を納める契約をしている会社は既に30社近いそうで、また不定期ながら、コンスタントに大金を寄付している団体や個人も多いそうです。
既に日本人の多額の寄付金提供者もおられるそうですが、今後は中国に進出している日本企業との定期契約も望んでいるそうです。
グローバル化が進んだ現代では、大国中国に荒っぽい政変が起きれば、一連託生、世界不況に発展することは明らかですから、富の再分配を担当している民間慈善団体への定期的な寄付金契約は中国の安定化への必要経費として考えるべきなのでしょう。

もう一つの危惧は環境問題です。 これも、非常な難問ですが、多くの若者達に危機感があって、様々な環境学を専攻する大学生が増えているのです。早い話、環境関連は今の中国では「金の成る木」なのです。
禿げ山などにも積極的に植林を行い、水質汚染対策を重要課題として政府も本気です。
今回の旅は雨のほとんど降らない内陸部に長く滞在していましたが、車窓から、保水の仕組みを施した若々しい苗木で溢れた山々が続くのを眺めることが出来ました。
もともと人口比で水資源の非常に少ない国です。国土の高低差も少なく、環境浄化には時間が掛かる地勢ですが、ひとたび本気で取り組めば、見通しは必ずしも暗くないと思いました。

ついでに言及しますと、食糧問題、効率的な農業振興も中国の大きな課題です。
意外なことに、人口比で日本の10倍、13億の中国ですが、有効な耕地面積は日本の3倍以下と言われています。
おまけに単位面積当たりの収穫量は日本の20分の1にも及びません。つまり、ここにも「金の成る木」が存在するのです。どの国であっても「金の成る木」には優秀な人材が殺到します。 エネルギッシュな中国人においては尚更でしょう。

北京は以前よりも少しは空気が良くなったのでしょうか、青空がずっと見えていました。(まあ、偶然かも知れませんが・・)中国は広い国土と多くの人口、少数民族問題もあり、日本以上に難問は山積しています。
先は長いでしょうが、何とか解決に向けて頑張って頂きたいと願うばかりです。         2007.8 松岡  記
中華慈善国際連合会では、当初より行っている、内陸部の孤児院に収容されている子供達への高等教育支援(孤児達を社会的地位の高い職業:医師、弁護士、公認会計士等々に育成するプロジェクト)に加えて、医学博士、鍼灸中医師の宋建華女史を中心に、我々日本人鍼灸師と共に鍼灸治療による難病治療、無医村地区への医療活動を始めています。2007年度の活動の一端をご紹介します。   
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