経絡にも個人差? ★
> 名前 = ハリセンボン
> 性別 = 男性
> age = 30to39
> メッセージ =
> こんにちは
> 経絡に敏感な人たちが経絡を発見したと聞きました。
> 私の周りにも自称経絡敏感人間?がいますが、彼の感覚ではだいたいの経絡とは合致するが、一部違った流れ方をする経絡があると言っています。経絡には個人差はあるのでしょうか?


(難しい問題ですので、お送りしたメールに一部修正、加筆して掲載しています)

ツボ探検隊の松岡です。
さて実は私もツボが体表に現れやすい人間で(つまり虚証)、皮膚に触れてツボ探索をするノウハウを習った人ならば目をつむっていても私の腕で経絡の概要が確認できますよ。
最近よくご紹介している手指鍼のツボも、かつての私がそうであった様に日本では大多数の鍼灸師はまとな治療が出来るものとは受け止めていないのですが、私の場合は自分の皮膚で手のツボの存在と効果がはっきりと確認できましたので、遅まきながらやっと実践する気になりました。
しかし、手指鍼のツボは従来の体鍼のツボよりも、少し皮下に有る上に直ぐに指骨に当たるので、存在を確認するのは何倍も難しいです。
多分、それが原因で効果は凄いのに広まり難いのだと思います。
しかし、この様に実際に発現するツボとして確認できるのですから、手指鍼の流注も年月と共に追試が進み、広まっていくことでしょう。

さてご質問から横道に逸れてしまいましたが、そもそもがお書きになられた如く実際に人間の皮膚に孔状の凹みが現れることを発見したのが経穴、経絡の発見に繋がったことは間違い有りません。
最初に記しましたが私はもの凄くツボが発現しやすいタイプの人間で、素人の方でも私の「百会」を触って貰うと、「わ〜っ、何これ〜!」と大きなツボの凹みに驚かれます。そして「百聞は一見にしかず、ってこれですね」と仰られますよ。

今触れて見ましたら、現在の私の「百会」は直径5pほどのすり鉢状の凹みになっています。すり鉢の底のつまり、「百会」のツボそのものは1pの更なる凹みの中心に3ミリ程度の深い凹み(穴)として存在しています。
丁度、火山の噴火口のような感じで、外輪が5p強有ります。
押すと痛いです。私の場合は睡眠不足が重なると、この百会の凹みの外周が広がってきます。私の百会はこの程度の大きさなら、まだマシな方です。
(でも、押すと痛むので後で鍼打っときます)
悪い時は3〜5段階に凹み、一番外側は10p以上の大きな凹みになって、頭全体がボコボコにいびつに変化します。調子の良いときは頭が丸いのです。
(頭は正確には15種23個の骨の結合体ですから、身体の状態に応じて僅かな歪みが生まれて、クッキリ丸い形には成らないのです。)

つまりですね、私の「百会」のツボだけを見ても体調次第で日々大きさや方向(いつも後頭部に向かって拡大する)がどんどん変化しているのです。
ですから、何百というツボがひしめき合う経絡や流注というのは個人差があって当然でしょう。(場合の数!)

経絡図に記されているのはあくまで最大公約数ラインだと私は考えています。
そのつもりで、骨度法に頼らず、自分で実際に触れてみて確認した後で鍼を打っています。
過去には忙しさにかまけて患者さんの皮膚に触れてツボ状態を確認しないままで教科書通りの位置に打ったことも度々あるのですが、治癒率が全く違ってきました。
もしもこんなことを続けていたら患者さん達はすべて私から去っていったことでしょう。
弱い鍼刺激で効果を出すためには一個一個のツボ状態を自らの手で触れて確認し、確認した状態に応じたテクニックを用いないと病んだ身体が動かないことはこの何十年かで痛いほど学習しました。

よく「中国鍼は効かない」と言っている経験者に尋ねてみると痛いだけで「自分が困っている所」「そこ、そこ、そこが苦しい」って場所に鍼の響きが届かなかったと申されます。
鍼にパワーを持たない施鍼で、ツボを確認しないで打つとこの様なことになります。
(もっとも、中国鍼も達人だとこの様な事も凌駕するパワーを持っているのですが)

実際に骨度法だけに頼らずツボを確認しながら鍼を打つことの一番の長所は前回と今回のツボの様子(圧痛、凹み、浮腫など)からその方の身体の持つエネルギー、病の方向性がつかめることです。(ツボ診断)
当初の想定の範囲を超えてツボ状態が改善していると、患者さんの持つ自然治癒力(生命エネルギー)の強さが当初のこちらの予想を超えていると判断して全快までの予想治療回数、期間を急速に縮めて治療計画を立て直します。

逆に直接ツボに触れて確認するも、ほとんど改善していない場合は(実はこっちの方がずっと大事!)前回の診断と治療が正しくなかった可能性が高いと判断して、新たな気持ちで診察をやり直します。人間は神様ではないので、誤診は仕方有りませんが、しっかりと起動修正するシステムを自らの治療姿勢に持つ事が大事なのです。(診断の修正!)

つまりツボ状態をしっかり確認して施鍼を行うことは前回自分が行った治療が患者さんの病いのベクトルをどの方向に変化させられたかを問診に頼らずとも確認できるのでとても重要なのです。(問診が出来ない乳幼児などでは特に大事)

特に気を使うタイプの多い日本人は治療を受けて、たいして効かなくても正直に「効かなかったから金を返せ」とは言いません。黙って去って行くだけなのです。
お上手を言う人も多いので、鵜呑みにすると勘違いしたまま、腕を上げる鍛錬のチャンスを逃してしまいます。
要するに患者さんの口は必ずしも信用できないのです。
体表のツボ変化を自らの感覚ででチェックすることは問診に頼らずとも症状の変化が分かるので特に日本での診療では必須でしょう。

「経絡」は必ずしも一定でない、常に疑心暗鬼で実際に患者さんの身体に触れて事実の確認を怠らないこと、試行錯誤を繰り返しながら技術の研鑽を行うことが真の治療家を目指す者には最も大事な「心がけ」だと思っています。

もっとも私が実際に出来ているかは力足らずで何とも言えませんが、とにかく「固定観念」は極力排して「事実」だけを追っていくことに努めています。
やはり私たち鍼灸師の仕事に「これで決まり!」は無いみたいです。